スモウとコンベンショナル

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、スモウデッドリフトとコンベンショナルデッドリフトの
違いについて論文を引用していこうと思います。

論文

本研究の目的は、スモウとコンベンショナルスタイルのデッドリフト、
およびベルトありとベルトなしの条件下で筋活動を比較することである。

対象は、大学フットボール部員13名が、リフティングベルトを
装着した場合と装着しない場合で、12RMの強度で
スモウとコンベンショナルデッドリフトを行い、
6台のカメラで60Hzのビデオデータと960Hzの筋電図データを収集しました。

コンベンショナルデッドリフトとスモウデッドリフトの
足首のモーメントを定量化した唯一の研究を行った著者らは、
スモウデッドリフトではリフト中、足首背屈モーメントのみが発生し、
コンベンショナルデッドリフトではリフト中、足底底屈モーメントのみが
発生すると報告しています。スモウデッドリフトでは前脛骨筋の
足関節背屈活動が大きく、コンベンショナルデッドリフトでは
内側腓腹筋の足関節底屈活動が大きいということです。
これらのデータから、足関節背屈筋の動員にはスモウデッドリフトが、
足関節底屈筋の動員にはコンベンショナルデッドリフトが
全体的に効果的であると推察されます。
しかし、スモウデッドリフトとコンベンショナルデッドリフトの
前脛骨筋および内側腓腹筋の活動量のパーセント差は、
比較的小さかったことを強調しておきます。

デッドリフトの3次元解析において、コンベンショナルデッドリフトと比較して、
スモウデッドリフトでは膝伸展モーメントが有意に大きいと
報告しています。
集められたデータから、スモウデッドリフトはコンベンショナルデッドリフトよりも
広背筋のリクルートにおいて効果的である可能性が推察されます。


股関節伸展モーメントについては、これまでスモウデッドリフトと
コンベンショナルデッドリフトとの間に有意な差は報告されていない。

これらのデータは、スモウデッドリフトとコンベンショナルデッドリフトの間で、
外側ハムストリング、内側ハムストリング、大殿筋の活動に
概ね有意差がなかったというEMG所見と一致する。

スモウデッドリフトと比較して、コンベンショナル・デッドリフトでは
L4/L5背部伸筋モーメントが有意に大きいと報告しています。
ただEMGデータは、これらの知見を支持しない。
なぜなら、上昇中のL3およびT12傍脊柱の活動に有意な差は
認められなかったからである。
このことは、スモウデッドリフトが傍脊柱筋のリクルートにおいて
従来のデッドリフトと同様に有効である可能性を示唆している。

前脛骨筋、股関節内転筋、大殿筋、L3およびT12傍脊柱の活動は、
他の膝角度間隔と比較して、下降の最後の30°(すなわち61-90°KA)において有意に大きかった。
これらの筋肉は、リフターがリフトの終わりに向かって体重を減速させるため、
この部分の安定性を高めるために、下降の終わりに向かってより多く発火したと考えられます。

デッドリフトでは、腰椎の圧縮力とせん断力が大きいことが報告されています。
これらの圧縮力やせん断力は、ウェイトトレーニングベルトを
着用することで減少させることができます。
しっかりと装着されたウェイトベルトは、腹腔を加圧するのに役立ち、
脊柱と関連構造に通常かかる負荷の最大50%を負担できるようになります。

いくつかのリフティング研究では、ウェイトベルトを使用した場合、
腹腔内圧(IAP)が13~40%増加することが示されていますので、
脊椎に負荷がかからず、せん断力や圧縮力が減少します。
リフティングベルトの採用は、筋活動にも影響を与える可能性があります。
本研究では、腹直筋と外腹斜筋が、デッドリフト時に
ベルトの着用によって影響を受ける唯一の筋であった。
ベルトを着用しない条件と比較してベルトを着用した条件で
外腹斜筋の活動が大きいことは、バーベルデッドリフトと
同様の方法で行うバーベルスクワット中ののデータと一致する。
体幹の安定化と剛性を高めるためには、ベルトを着用しない状態で
外腹斜筋の活動をより大きくする必要があるかもしれませんが、
通常はIAPの増加によりベルトによって強化されます。
ベルトありの方がベルトなしよりも腹直筋の活動が大きいことは、リフティングデータと一致する。
ベルトありの方が腹直筋の活動が大きいのは、ベルトが腹直筋の収縮に
対する抵抗として働き、ベルトなしよりも強い随意収縮を可能にするためと考えられる。

内側腓腹筋の活動が、スモウデッドリフトと比較して、
より狭いスタンスのコンベンショナルデッドリフトで有意に大きいことは、
ワイドスタンススクワットと比較して、狭いスタンススクワットで
有意に大きい腓腹筋活動を報告されたデータと一致している。
さらに、ナロースタンススクワットとワイドスタンススクワットの間で
大腿直筋とハムストリングの活動に有意差がないと報告しており、
これはコンベンショナルデッドリフトとスモウデッドリフトで見られた結果に類似しています。
対照的に、広背筋の活動はナロースタンススクワットとワイドスタンススクワットで
異なることは示されていませんが、スモウデッドリフトは、
より狭いスタンスのデッドリフトよりも大きな広背筋活動を示しています。
興味深いことに、スクワット時の29cmの狭いスタンス幅と57cmの広いスタンス幅は、
コンベンショナルデッドリフトの33cmのスタンス幅と
スモウデッドリフトの65cmのスタンス幅と非常に似ています。
これらのデータから、腓腹筋のリクルートメントは狭いリフティングスタンスで
より効果的である可能性があり、一方、デッドリフトを広いスタンスで行うことは、
広背筋のリクルートメントにおいてより効果的である可能性があると推察されます。

結論として、EMGの結果から、内側広筋、外側広筋、前脛骨筋のリクルートにおいては、
コンベンショナルデッドリフトよりもスモウデッドリフトの方が全体的に効果的であると考えられ、
一方、内側腓腹筋のリクルートにおいては、コンベンショナルデッドリフトの方が
スモウデッドリフトよりも全体的に効果的と考えられる。

ベルト装着の主な効果は、腹直筋の活動が大きくなり、外腹斜筋の活動が小さくなったことである。
したがって、サブマキシマルトレーニング中にベルトを着用しても、
腹筋を除く筋の活性化パターンを変えることはないようです。
筋力競技者は、トレーニングやリハビリテーションのプロトコールに従って、
どの筋肉を発達させることが最も重要であると考えられるかによって、
スモウデッドリフトまたはコンベンショナルデッドリフトのいずれかを選ぶべきである。
デッドリフトは、大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋から中程度から高い共収縮を生じるため、
ACL損傷や再建後のような膝のリハビリテーションにおいて、
閉運動連鎖運動として有効であると考えられるが、
この仮説についてはさらなる研究が必要である。

また、これまでデッドリフトで定量化されてきた関節モーメントは1RMのデッドリフトによるものであったため、
1RMの強度を採用したスモウデッドリフトとコンベンショナルデッドリフトの
EMGを比較する研究を追加する必要があります。

まとめ

解説系の論文はまとめても長くなるので、
興味がある人は読んでみてくださいねぐらいです。
だいぶカットしているので、
もっと知りたい人は原文の本を読んでみてください。

EMGだったりこういった結果は、
大まかな筋活動はこういった感じになるますよぐらいに
思っておいてください。
骨の長さが違えば負荷のかかり方は変わりますし、
捻角などでスタンスも動き方も変わってくるので、
信用し過ぎないようにお願いします。
そもそも筋トレ系のEMG系はn数が少ないですし、
”大学フットボール部員13名”みたいな偏りが大きいです。
競技毎で骨格など似てくるので、
それ以外の人たちはすでに謎になっちゃいますからね。

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この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。