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2025.12.13

有酸素をやり過ぎると筋肉が落ちる?

こんにちはTOMOAKIです。
大会に向けた減量中のクライアント様から
「有酸素をやり過ぎると筋量が落ちますか?」という質問をよくいただきます。

結論から言えば、有酸素を行うことで筋肉が実際に減少するということを
示した強いエビデンスは、現時点では存在しません

ただし、条件次第では筋肥大や筋力向上が抑制される可能性があることは、
研究によって示されています。

筋トレと有酸素運動

参考文献:
Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises

この研究では、レジスタンストレーニング単独と、
レジスタンストレーニングに有酸素運動を組み合わせた、
いわゆるコンカレントトレーニングを比較したメタ分析を行っています。
この研究では、筋肥大、筋力、パワーといった適応について、
計21研究を統合して検討しています。

その結果、効果量ベースで見ると、筋肥大および筋力の向上は、
レジスタンストレーニング単独の方が、
レジスタンストレーニングと有酸素運動を組み合わせた場合よりも大きい傾向が示されました。

つまり、有酸素運動を併用したコンカレントトレーニングでは、
筋肥大や筋力の伸びが、数値上はやや小さくなる方向にあることが報告されています。
著者らは同時に、有酸素運動の条件によって結果が異なる可能性があることも示しています。

具体的には、ランニングを含む有酸素運動を行った場合には、
筋肥大および筋力の効果量が低下する傾向が見られた一方で、
サイクリングではそのような傾向が明確ではありませんでした。

また、有酸素運動の頻度や実施量が多いほど
筋肥大・筋力・パワーに対する効果量が小さくなる方向性が
観察されたことも報告されています。

つまり「有酸素運動の併用そのものが問題になる」というよりも、
有酸素運動の種類、頻度、量といった条件によって
レジスタンストレーニングの適応が影響を受ける可能性があるようです。

参考文献:
The Effects of Concurrent Aerobic and Strength Training on Muscle Fiber Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis

また2021年のメタ分析ではコンカレントトレーニングは、
筋肉繊維レベルの肥大には単独レジスタンストレーニングより
やや抑制的な傾向
がある、と報告(効果は小さい)しています。

さらに、タイプI繊維についてはランニング系有酸素のほうが
サイクリング系より影響が顕著になる可能性があると示唆しています。

この点から有酸素運動の種類や頻度、持続時間によって
影響は異なることがわかります。

まとめ

有酸素によって筋肉が落ちるという表現は誤解です。
過去の研究の多くは、筋量が減少したかどうかではなく、
筋肥大量や筋力向上の程度を評価していますので
悪影響が多少あるとしても筋肉が落ちる、減るというよりは
成長具合、増加具合がやや抑制される可能性があると言った表現が正しいです。

指導していて実際に問題に感じているのは、
有酸素そのものではなく、有酸素を増やしすぎた結果として
疲労が蓄積し、筋トレの質が低下したり、摂取エネルギーが極端に不足したり、
睡眠時間を削ったりして体調不良となるケース
です。

筋量を守るうえで重要なのは、適切なエネルギー収支、
全体のトレーニング量、強度、回復を含めたバランスをどう設計するかです。

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TOMOAKI

パーソナルトレーナーでFLEXER COACHINGのメインコーチ。ブログでは主にオンラインコーチング上で得た知見のシェアや減量(ダイエット)、筋肥大に関する記事を執筆しています。

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