オーバーヘッドプレスのバリエーション:筋肉に与える刺激の違い

こんにちはTOMOAKIです。
今日は様々なオーバーヘッドプレス
による三角筋を始めとする筋肉への
刺激の違いに関する研究を
紹介していきたいと思います。

過去記事:三角筋に対する4つの種目の比較研究

研究紹介

本研究では、バーベルを
頭の前や後ろを通過させて行う
オーバーヘッドプレスと、
ショルダープレスマシンを用いて行う
オーバーヘッドプレス
における
筋の活動を比較した。

8名の競技ボディビルダーが、
ランダムな順序でフロント(フロントBMP)
またはバックバーベルミリタリープレス(バックBMP)、
ニュートラルハンドグリップでフロント(フロントMSP)
またはバックマシーンショルダープレス(バックMSP)を行った。

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図1:種目の画像

三角筋前部、中側、後部、僧帽筋上部、
大胸筋、上腕三頭筋の正規化表面
筋電図平均平方根(RMS)を
上昇期と下降期の両方で記録した。

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図2:結果のグラフ

上昇期において、
三角筋前部
MSPよりもBMPの方が大きなRMSを示した。

三角筋中部は、フロントBMP及びバックMSPよりも
バックBMPで大きなRMSを示した。

三角筋後部は、フロントBMPよりも
バックBMPでより大きなRMSを示した。

大胸筋は、バックBMPよりもフロントBMP
大きなRMSを示し、バックMSPよりも
フロンMSPで示した。

下降期において、
三角筋前部バックBMPの方が
フロントBMPよりも活動した。

三角筋内側部は、
フロントBMPよりもバックBMP
より大きなRMSを示した。

三角筋後部は、フロントBMPよりも
バックBMPでより大きなRMSを示した。

大胸筋は、フロントBMPの方が
バックBMPよりも大きなRMSを示した。

僧帽筋上部については、
運動間差は観察されなかった。

バックオーバーヘッドプレスを行うと、
三角筋の中部と後部、
一部前部の活動が高まり、
フロントオーバーヘッドでは大胸筋が有利となる。

バーベルを使用して行うオーバーヘッドプレスは、
外部負荷の軌道を安定させるために
マシンを使用するよりも、より筋肉を活動させる。

オーバーヘッドプレスの様々なバリエーションは、
肩の筋肉に異なる刺激を与えるようであり、
トレーニングルーティンの中で適宜使用することができる。

まとめ

ザックリ今回の結果をまとめると
三角筋への刺激は
バーベル>マシン
バックプレス>フロントプレス

という感じでした。

バックプレスが全体的に三角筋への
刺激が効果的だと示唆されました。

ただしバックプレスは無理に可動域を出そうとすると
肩周りを痛めたり、顔を前に出し過ぎて
首を痛めたりする方もいるため
取り入れる場合はその辺を
気を付けると良いかと思います。

フロントとバック、マシンで
微妙に異なる刺激なため
狙いによって色々組み合わすと
良いかと思います。

補足(論文の考察)

ここでは個人的に気になった部分についてです。

フロントのミリタリープレスより
バックのミリタリープレスの方が
三角筋中部、後部、一部前部の
刺激が高いことが示唆されたことについて
詳しく要因を見ていきます。

三角筋前部:フロントVSバック

三角筋前部は挙上面に関わらず
上腕骨の強い外転筋であり(Escamilla et al.、2009)、
これは、挙上局面において
フロントプレスとバックプレスを比較して
違いがないことを一部説明するかもしれません。

下降相では、フロントプレスよりも
バックプレスの方が三角筋前部の活動が大きく、
上腕骨の外旋と内旋の
ラテラルレイズを比較するとわかるように、
外旋軌道を維持する必要性から、
運動を制御する際の活動が増加したと考えられます(Coratella et al.、2020b.)

三角筋中部:フロントVSバック

三角筋中部に関しては
フロントのミリタリープレスでは
上腕骨の外転と屈曲が
組み合わされているのに対し
バックミリタリープレスでは
顕著な外転が行われていることに
起因しているようです。

三角筋後部:バックプレスで何故高い?

三角筋後部に関しては
上腕骨の外旋筋として作用するため
バックプレスでより高い数値がでたと思いますが
前部や中部三角筋ほど
プレス動作での刺激は効果的ではなさそうです。

体幹の傾斜:フロントVSバック

フロントBMPでは、バックBMPと比較して
胸郭がより伸展することに注目すべきです
(McKean and Burkett, 2015)が、
体幹の傾斜が異なることから
(フロントBMPではクッションに密着し、
バックBMPでは90°)、
このような現象も発生しました。

このことは、上腕骨の垂直方向の
屈曲が少ないことを意味し、
フロントBMP時には大胸筋をより活動させ、
バックBMP時には三角筋をより活動させることが
必要であると考えられます。

この記事を書いた人

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TOMOAKI

2021年度JBBFジャパンオープンクラシックフィジーク168cm以下級準優勝など数多くのコンテストで優れた成績を残し続けており、2022年度から正式にmaison de FLEXER所属のパーソナルトレーナーとして指導中。KONDOやKAMEYAMAより常日頃から様々な知識を供給されそれを活かしてオンラインコーチングで月当たり約30名を指導している。