2025.12.07
パワーリフター選手の大会前の急激な減量

KONDOです。
今回の記事はパワーリフターの選手の
多くが行なっているであろう大会前の
急激な減量や水抜きに関してです。
パワーリフター選手の減量
中澤さんからのご紹介もあり、
今期は多くのパワーリフティング競技者の方の
食事管理指導をさせていただきました。
ヒアリングを行ったところ、
ほとんどの選手が大会の1ヶ月ほど前から
極端な食事制限を行っていたり、
大会直前の1週間程度で大幅な水抜きを実施していたりと、
かなり負担の大きい調整を行ってきた過去がありました。
パワーリフティング業界では
水抜きが非常に一般的で、
もはや「正攻法」「常套手段」
といった印象すら受けます。
また、ボディメイク系競技者が
“身体の見た目自体が結果”となるため
栄養素やサプリメントに強い関心を持つ一方で、
パワーリフティング競技者は
栄養への関心が極めて低い反面、
ギアへの関心が高い傾向にあります。
これは、
栄養素が持つ可能性やパフォーマンスへの影響を、
あまり正しく認識できていないことの表れだと考えています。
実際、優秀な成績を収めている選手の中にも、
ラーメンや牛丼といった、
いわゆる「バランスの取れた食事」から
大きく外れた食生活を続けている方が少なくありません。
そして、その状態でも結果を残しているのは事実です。
むしろ、食生活が乱れた状態のまま競技を
続けている選手が多いことを考えると、
「栄養に気を遣わなくても、
競技力に良くも悪くも影響はないのでは?」
と考えてしまう選手が多くても不思議ではありません。
急速な減量
パワーリフティングなどの
Making weight=階級制競技の体重を合わせる
において急速な減量はデメリットがありそうだが
実際はどうなのか?
ごく自然な考えをすると
・急速な無理な減量をすれば筋量が無駄に減りそう
・日々の練習のリカバリーが追いつかなそう
といったようなことが浮かびます。
パワーリフティング競技者26名を対象に
「約5%の短期減量+2時間回復」のRCTを実施。
結果、体重・脂肪量などの体組成は低下したものの、
挙上重量(スクワット・ベンチ・デッド合計)は変わらず。
体重を考慮した相対評価(IPF GoodLiftスコア)は有意に向上。
脂肪量はおよそ15%減少、除脂肪量は2.3%、水分量は2.4%減少。
つまり「短期の減量+回復は、
階級を落としてもパフォーマンスを落とさず、
むしろ相対的に有利になる可能性ありと示されている研究があり、
ただし、方法は厳格(制限4日+2時間回復)なので
リスク管理は要注意が必要。
まとめ
過去のクライアント様の中には、
独自で減量を行っていた際、
ボディメイク競技のように計画的に進めるのではなく、
5〜6kgの水抜きを行っていた方もいました。
また、
「体重100kgの方が83kgで出場したい
水抜きで5kg落とす前提なので、
残りの12kgは減量で落としたい」
といった要望があったケースもあります。
実際、階級制競技では、
普段から試合の体重制限+3〜5kg程度で
過ごしている選手が、ゆるやかに減量を進め、
最後に水抜きで2kgほど調整し、
試合当日のリカバリー時間をしっかり確保できれば、
試技への悪影響はほとんど見られない印象です。
もちろん、水抜きを推奨しているわけではありません。
しかし現場として、減量幅が3〜5kg程度
そのうち2kgほどを除脂肪で落とし残りを水抜きで調整
といった方法の方が、精神的なストレスが少ない
と感じる選手も多く、現実的な選択肢として機能しているように思います。
一番大切なのは、
試合の階級から大きく離れた体重で日常を過ごさないことです。
体重がかけ離れていると、
- 重心の感覚
- ベルトの締め心地
- セットアップ姿勢
などが本番と異なり、パフォーマンスを落とす要因になります。
つまり、
“普段の体重を階級に近い状態で維持する”ことこそ最大の減量対策
と言えます。





