エビデンスの読み取り方を見誤るな

 KONDOです。
今回の記事はパーソナルトレーナーである
我々の自戒を込めて記述いたします。

 「エビデンス」というワードが多用されるようになった昨今
このエビデンスにもレベルがあるということ、
エビデンス自体がどのような方法で得られたのか、
そういった点も含めないと信ぴょう性という部分は
なかなか測れないよということを知ってほしいです。

 この記事を読んでいる人の中で
最もエビデンスに触れる機会が多いと考えられるのは
「美容品」「サプリメント」「トレーニング方法」
などじゃないでしょうか。
1つ前提的に言えることがあるのですが
栄養素や成分単体においてはエビデンスはあるモノはありますが
いち製品に対してエビデンスは有って無い様なモノ
だと
そう認識して頂きたいです。特に美容品とサプリメント。
それは何故なのか・・というのを以下詳述していきます。

の前に、
以下のブログ記事に目を通していない方に関しては
以下のブログに目を通してからお読みください。

エビデンスレベルについて

 エビデンスにはレベルがあります。
レベルというのは簡単に言うと「信ぴょう性」であります。
つまりは信ぴょう性が高いものから低いものまで
混在しているということであります。
エビデンスのこの階層をエビデンスヒエラルキーと呼びます。

 頭の中でピラミッドをイメージしてください。
そしてそのピラミッドを5階層横線で区分けしてください。
頂点を1とし、最下層を5としてください。
信ぴょう性の高さは上に行くごとに高くなり
下は信ぴょう性としては極めて低いものです。
つまり1は信ぴょう性が高く
2はそこそこ信ぴょう性が高く

3~5は信ぴょう性という点では乏しいデータ
という感じになります。

これは統計学者で疫学者の方がネットに投稿した画像を
描写したものです。本元の人の投稿を見つけれませんでしたので
雑ですが同じものを書きました笑

この
Thougthful, well-conducted studied of any design
(よく考えられちゃんとデザインされた研究データ(信ぴょう性高い))
の部分はピラミッドの1・2階層を指します。
The other shit(ゴミ)
は要するに3~5を指します。

正直この画像が結論で
3~5についてはゴミ、なのです。

エビデンスヒエラルキーをもっと詳しく

  • 階層1(頂点 信ぴょう性高い)
    ランダム化比較試験の統合解析
    被験者数の多いランダム化比較試験
  • 階層2(信ぴょう性そこそこ高い)
    被験者数の少ないランダム化比較試験
    よくデザインされた観察研究
  • 階層3(ゴミ)
    比較の無い臨床研究・臨床試験・観察研究
  • 階層4(ゴミ)
    2例以上の事例報告
  • 階層5(ゴミ)
    1例報告(体験談)・臨床試験・基礎研究(動物実験含む)

上記を見て頂いて分かるとおり
ゴミの3~5、特に4と5についてはもはや体験談で
個人の感想的なニュアンス
があります。
ちなみに医者や専門家の意見も階層5です。個人の意見。

方法

ランダム化比較試験

効果を調べる際に被験者をくじ引きや乱数表などでランダム化し無作為に選出しグループ分けをして行う試験。
研究者の主観やバイアス等が入り込まないため必然的に信ぴょう性が高くなってきます。

観察研究

特定の性質や条件を満たした集団に対して何ら介入せずに設定された期間それぞれの人を観察して
集められた情報を基に研究する方法です。

などが在ります。

そして頂点のランダム化比較試験の統合解析の
統合解析の部分、これがメタアナリシスといいます。
メタアナリシスとは複数の研究結果を統合して
より高い見地から分析する手法のことです。
ちょいちょい当ジムのブログでメタアナリシスという
ワードが出てくるかと思いますが
要するにエビデンスの中でもかなりレベル高めなモノ
って感じです。

あとシステマティックレビューというものがありますが
こちらもエビデンスレベルとして高いもので
こちらはメタアナリシスとは違いエビデンスとして
既に出ているものをベースとしてさらにそれを評価するものです。
このシステマティックレビューとメタアナリシスと表記のある
エビデンスは信ぴょう性として非常に根拠のあるものとして
読み取れるもの、ということであります。

方法を見て分かること

 この見出しまでの文を見て頂ければ分かると思いますが
エビデンスレベルの階層1~2ってのは
かなり大がかりな方法を取っているということです。
データを取って根拠を出して更にその複数の研究データを
統合して解析して・・・という手順を踏んでいるわけで
膨大な時間と複数の被験者、管理体制・・・等々
単なる民間企業のいち製品如きが
このレベルまでのエビデンスを得ることが出来ない訳です。

ご意見番

なるほどな。
「エビデンスがある」と謳っている製品が多々あるが
それらはその会社か1つの機関内だけのデータで
単なる「体験談・事例報告」程度に収まるわけか。

KONDO

その通りです。
例えば「カフェイン」「クレアチン」等は栄養素として
広義的な運動パフォーマンスの向上としてエビデンスが”ある”と
現状は言えるわけですけども
例えば何かしらのフィットネス向けのサプリメントの化合物、
ヒト幹細胞とか矯正下着などに使われる特殊繊維、
何かしらの美容液等には根拠として信ぴょう性の高い
”効果あり”と言えないのです。そのメーカーの内内のデータですから。

じゃあ例えば「FLEXER」というサプリメントを開発して
独自の”痩せる”成分たちを配合したとして
「痩せる」というエビデンスが取れたとします。
これは階層5に当てはまり要するにゴミな訳ですが
ゴミをゴミじゃないとして正当なエビデンスと主張している場合
以下のモノを考慮しなければいけない訳です。

  • 被検体はヒトなのか動物なのか
  • そしてその数は
  • その性別や年齢は
  • 基礎代謝量や運動量・頻度・強度は
  • 食事内容は
  • 実施期間は

・・・・などなどサラっと挙げただけでもこれだけあります。
階層3~5のレベルでもエビデンスがあると主張する場合でも
デザインの度合いで随分と変わってしまうわけです。
なので今回の場合の痩せるサプリメントFLEXERですが
被検体の年齢や運動習慣・食事内容はどんなんなの?
という疑問が浮かぶというわけです。
FLEXERが故に痩せたのではなその被検体の運動習慣が起因している、
または食事内容かもしれませんからね。

例えば他にも「加圧トレーニング」です。
加圧トレーニングと並行して書かれる文字「成長ホルモン」。
加圧トレーニングを行うと成長ホルモン分泌量が290倍!
という文言を見たことある人も多いのでは。
実はこれ元々の被験者の成長ホルモン分泌量が通常時
0.15ngほどで加圧トレーニング後には45ngになったそうで
確かに290倍になっていますけど・・・
そもそもの被験者の成長ホルモン分泌量が低いのですよ・・
通常のウェイトトレーニングや睡眠とあんま変わらんよ。
みたいな感じで蓋を開けてみると
”その”被験者にはそうだったかもしれないけれど
あなたにはそうとは限らないよってことです。

 故にエビデンスヒエラルキー的に最下層であって
エビデンスが有って無いようなもの
、なのです。

知らん人

エビデンスがあるっぽい書き方がされていても
その研究の成され方まで目を通さないと
信じることはできないですね。
だからこの記事でも強く鵜呑みにするなと言っているんですね。

エビデンスが無い

 逆に「エビデンスが無い」という言葉を読み解きましょう。
前述の文の通り、基本的に民間企業のいち製品
特にフィットネスや美容品などに対してのエビデンスは
有って無いようなものとお分かりいただけたと思います。
これを平たく言うとそれら製品や施術は「エビデンスが無い」
と言いますが複数の意味合いがある事を覚えましょう

  • 効果の有無がまだ分かっていない 1
  • 効果無し 2
  • 副作用等が多い 3
  • 自然なことで調べられていない 4

1~3については文字通りですね。
4は、例えば「人間は酸素が無ければ死ぬ」という件で
「エビデンスは?」なんて必要ないですよね。
当たり前すぎてエビデンスが無いわけです。

こんな感じで一言「エビデンスが無い」と言っても
4つのニュアンスがあるということを覚えましょう

効く・効かない


 US Preventive Service Task Force(USPSTF) grades

  • 効果有り =A
  • 多分効果有り =B
  • 効果無し =C
  • 害がある =D
  • 効果の有無不明 =I

こういう指標も存在します。
多くのサプリメントはCとされ「エビデンスが無い」とされます。
しかしながらもしかしたらIかもしれませんね。
要するにエビデンスとしては根拠が不足しているといった感じで
今後もっと研究が成されていけば
もしかしたらCに転がるかもしれないですし
Bになるかもしれません。更に研究が進めばAになるかもですね。

ゴリラチョコ

ということはエビデンスがあるっぽく書いてあっても
実際は無いようなもんなんだけど
もしかしたら数年後数十年後にはエビデンスとして
効果ありになるかもしれないねって感じで
製品や施術を取捨選択しないといけないんですか。

ODA

そういうことになってしまいますね。
ちょっとややこしいですけど
基本的に根拠に裏打ちされた信ぴょう性の高い
フィットネス向けサプリメントや美容品は
99%存在しないと言っていいということですね!

亀山

そう思った方が単純明快で良いですね。

KODNO

本当にシンプルに考えてほしい。
もし飲むだけで痩せるなら何故メタボなんて言葉が出回る?
何故この世から肥満が消えない?
もし飲むだけで筋肥大されるなら命かけてまでステロイドを注射する
ボディビルダーたちが存在する?
もし着るだけで骨格が変わるなら、もし塗るだけで脂肪が分解されるなら、
・・・そんなもの開発したらノーベル賞ですよ。
多くの人を救うことが出来るでしょう。

まとめ

  • エビデンスと言ってもレベル(階層)がある
  • 上位2層は今のところ信頼できそう
  • 下位3層は今のところ信頼できるに値しない
  • サプリメントや美容品などは基本的に下位3層
    故にエビデンスは有って無いようなもの

科学的に考えれば「現状の科学を持ってすれば
という前置きをして判断できます。
しかしながら「現状の」であって変わるかもしれません。
今下層にあっても上層にいくかもしれません。
だから科学は絶対ではありません
ただ科学的に効果を謳うなら現在進行形で
語る必要があります


↑これがとてもとても大切なポイントです。
あとは感覚ですね。
あなたが効果が有ると思うなら効果が有り、
効果が無いと思うなら効果が無いのです。
又、効果が有るとエビデンスがあったとしても
効果が無いと感じるかもしれません。

エビデンス云々よりも
あなたが効果を感じるなら
それでOK

maison de FLEXER



故に消費者は”感覚”という選択肢を有しています。
問題は販売者の方です。
現状は科学的に見て信ぴょう性が乏しいレベルなのに
あたかも確実に効果があるかのように
謳って販売したり施術してしまうのはダメ

ということです。コレに尽きます。













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