腹圧の勘違い

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、”腹圧”について記事にしていこうと思います。
腹圧については過去に記事にしていますので、
前提知識は過去記事をご覧ください。
過去記事→腹圧とは?

腹圧について

トレーニングしている人ならば、
一度は耳にしたことがある言葉ですが、
”お腹に力を入れて”
この言葉が誤認識の始まりだと思っています。
ではどのような誤認識が起きているのか?
これは”腹直筋に収縮をかけてしまう”ということです。
そして、これを行い過ぎた人は、
どんどん腹圧がかからなくなっていきます。
個人的な考えにはなりますが、
ポージングのドローインや、
腹直筋トレーニングをやり過ぎな人も、
腹圧がかからなくなっていくと思っています。

上の画像はよくある胸郭、腹腔、骨盤の位置関係を
絵にしたものです。順番に解説していきます。
画像の左側がお腹、右側が背中です。

Aは腹腔が真っすぐ筒状になっています

Bは反り腰と言われる状態です。
腹直筋などが緩み、起立筋側に収縮がかかっています


Cは腰が丸まっている状態です。
腹直筋に収縮がかかり、起立筋側が緩んでいます


よく言われる”お腹に力を入れて”。
腹直筋に力を入れると勘違いしている場合は、
極端に言えばCの状態です。
厳密にはBやCでは最大の腹圧はかかりません
腹圧を高めるとは、
”腹腔内圧高めること”で、
胸郭、腹腔、骨盤で体幹部に”筒”を作り上げる事
です。

トレーニングにおいて”腹圧をかける”というのは
”最大筋力の増加”、
”体幹を固め脊柱に負荷を掛けないこと”などを目的
としています。

物を持ち上げるとき、左の棒状と右の筒状。
この棒というのは脊柱、背骨を指しており、
筒は前述の通り”腹圧を高めた状態”です。

棒と筒。

どちらが安定するか、力を上手く使えるか、
怪我がしにくいか、フォームを維持できるか。
答えは”筒状”です。

これは物理的な話でもあり、神経的な話でもあり、
筋肉的な話でもどの見方からしても
”筒状”になります。

では、BとCについても見てみましょう。

腹圧がかからないという事は、
脊柱のみなので棒状です。
この状態で重さを持って安定するわけがないですよね。

だからこそ、腹圧を高めるというのは、
腹直筋に収縮も伸張もなく、
ニュートラルの状態である必要があるのです

ただし、腹圧を最大に高める話であって、
腹直筋に収縮があっても腹圧はかける事はできます。
抜けやすい、かかりにくいですが。

まとめ

トレーニングにおいて、
男性は柔軟性、女性は腹圧の獲得が重要になります。
これは生理学的な構造の差であり、
変える事は出来ません。

では女性トレーニーを思い返してみましょう。
ヒップアップしたように見せる反り腰、
ウェストシェイパーなどにおける腹筋群の非活性化。
自ら進んで腹圧がかからない方向に進んで行ってしまっています

腹圧がかからないということは
腰に負荷が乗り、痛みが出ます。
痛みが出ると怖くなって、
スクワット、デッドリフトが出来なくなっていき、
更にお尻が育たない。
育ってないから育ってるように見せる反り腰に走る。
負のループが完成しています。
本人たちに筋肉がなくともヒップアップした気でいられる
反り腰を楽しむと言うならば自由だと思います。
ただ、一瞬の見栄えしかメリットがなく、
代わりにデメリットが多すぎて、
おすすめはすることは出来ません。

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この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。