情報の氾濫とエビデンスの切り取り

KONDOです.

今回の記事は個人的にも皆さんに
是非とも知っていただきたい内容です.

結論のみが独り歩き

ついここ数日の間に公開された文献です.
肥満者を対象とした2週間という短期間ですが
睡眠時間を6.5時間から8.5時間に
2時間延長するとエネルギー摂取量が
270kcal/日も減少した
という報告です.
95%信頼区間は393kcal~147kcal.

端的に言えば睡眠時間が長いと
エネルギー摂取量(食べる量)が270kcalほど
減少傾向にあった
ということです.

A

じゃあ寝れば寝るほど痩せるってことか!

と、思うじゃないですか.早計です.

Aさんの様な早合点をしてしまう
指導者・情報発信者・インフルエンサーの方が
非常に多いということが
現代の世に
蔓延っている誤った情報氾濫の諸悪の根源
です.

このエビデンスを和訳して
万人に分かりやすいようにめちゃくちゃ砕いて
エネルギー摂取量が減少するだけなことを
「痩せる」と表現してしまえば
睡眠=痩せる という情報発信になります.

皆さんご存知の通り、痩せるか否かは
エネルギー収支で決定されます.
エネルギー摂取量が減ったからとて
エネルギー消費量がそれ以下であれば痩せません.

つまり睡眠=痩せるではなくて
睡眠時間をしっかり確保することで
余計なエネルギー摂取を控えれる習慣作りが
できるかもしれませんね
って読み取りが
今回のこの文献の結論なわけです.

  • 睡眠時間が短い人は間食をよくする傾向にある
  • 睡眠時間が短い人は1日の活動量が少ない傾向にある
  • 睡眠時間が短い人は朝食を食べない傾向にある
  • 朝食を摂らない傾向にある人は活動量が低い傾向にある

などなど睡眠と痩せる・太るという
関係性についてはファクターが幾つもあります.

↑この記事、未読な方は先に目を通してください.

エビデンスの読み取り

上記の様にエビデンスの読み取りが甘いと
「○○を食べると痩せやすい身体に」
「○○は健康に悪い」
みたいな言い切り表現が出来上がります.

今回の場合は「寝れば寝るほど痩せる」みたいな
表現になってしまうかもしれませんね.
でもありそうですよね、Instagramとかに.

もう1つよくあるダメな例を出してみましょう.

野菜・果物とがん

症例対象研究とコホート研究で
世界中の質の良い研究をまとめた物です。
野菜と果物摂取とがん予防についてです.
果物とがんの発症について調べた研究は56あり
緑黄色野菜とがんの発症について調べた研究は88、
80%近くが野菜と果物のがん予防効果を
支持している結果が出ています.

しかしながら果物に関して取り上げると
5は支持していない文献が存在しています.
要するに果物や野菜を食べているからって
がんの予防にはならないよって報告です.

エビデンスというものは
都合よく解釈でき取捨選択できる
ということを皆さんは知っていますか?
KAMEYAMAは時折、ネタでですけど
自身がハイボリュームトレーニングが嫌いなので
ハイボリュームを否定するエビデンスを
引っ張って記事にしています.
これはKEMAYAMAのハイボリューム否定の
バイアス(偏見)がかかっていることになります.

では話を戻しますが
果物のがん予防効果を否定する文献が5あって
もしも情報発信者が果物否定派だったら
どうすると思いますか???
自身の説を裏付けするために間違いなく
この5この文献のどれかを引用するでしょう.

「果物にがん予防効果はなく、果物を摂っても
別にメリットなんてない」
みたいに言う事も予想が付きます.
そして56個中の5個が否定意見で
36個ががん予防に正の関連性を示していることを
決して表には出さないと思います.

こんな感じでエビデンスを都合よく
引用して情報発信が簡単にできるわけです.

まとめ

こんな感じでエビデンスなんて
都合よくなんぼでも引用できます.

私がファスティングについて
過去に記事にしていますがまさにコレです。

そしてエビデンスを引用しているからとて
それが実生活に沿った現実的なものか否かは
目を通してみないと分かりません。
つまりはそのエビデンスが実学に沿っているか
が争点となってきます。

○○を摂ると健康に悪い
としているものがあって
確かにその成分が入っていたとしても
害が出る量を摂ることは現実的に不可能なら
それは別に健康に悪いとは言い切れません。

こんな感じでエビデンスを引用しているから
信頼できるとかそう言うのじゃないです。
我々に対しても同じですよ。。。






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