2025.06.01
ボディビル競技の最終調整「3つの変数」

こんにちはTOMOAKIです。
大会シーズンとなり
オンラインコーチングのクライアント様の
大会に向けた最終調整をサポートさせていただくことも増えてきました。
そこで今回は最終調整でよく認知されている
・炭水化物
・塩分
・水分
この3つの変数に関して
どのような狙いやリスクがあるのかについて
ナチュラルボディビルダーの科学に基づくコンテスト準備の推奨事項
という論文をもとに解説していきます。
炭水化物
カーボディプリートやカーボアップなど
SNSでもよく見るかと思います。
クライアント様からも必ずと言っていいいほど
カーボディプリートやカーボアップはいつからしますか??
と聞かれることが多いです。
ボディビルダーがピークウィークにおいてよく行う
「カーボローディング」は、筋グリコーゲンを最大限に蓄え、
筋肉の張りやサイズ感を引き出す目的で使用されます。
筋グリコーゲンは水と一緒に貯蔵されるため、
グリコーゲンの増加に伴い筋肉内の水分も増加し、
筋肉が膨らんで見える効果があります。
1gのグリコーゲンにつき約3gの水が結合するとされ、
この水分が筋肉内に留まることでフラットな状態から
張りのある見た目に変化します。
本論文では、ハイカーボ法(high-carbohydrate approach)では、
体重1kgあたり8〜12gの炭水化物を摂取する方法が一般的とされ、
3日程度に分けて行うことが推奨されています。
ローディングの前に「枯渇フェーズ」として
一時的に炭水化物を減らす手法(depletion phase)もありますが、
これは筋グリコーゲンの超回復(supercompensation)を狙うアプローチであり、
現在では必ずしも必要とされていません。
むしろ過度な枯渇はパフォーマンス低下や
コンディショニングの乱れを招くリスクがあります。
また、個人差が大きいため、
事前に「テストピーク(模擬調整)」を実施することが強く推奨されています。
テストピークによって、どの炭水化物量がベストな見た目を生むかを把握し、
本番でのリスクを減らすことができます。
大会前はカーボアップと楽しみにされている方もいますが
普段食べない量のカーボを入れてコンディションがどんどん崩れる方もいますので
リハーサルが重要ですし、絞りきれてないのであれば
やらないというのもありかと思います。
どうせ大会終わればたくさん食べれますので
大会前はコンディション重視で過度な調整は避けるのが無難です。
塩分
最後の方は塩抜きしますか?など
塩分調整もよく聞かれる変数です。
ナトリウムの調整は、
体内の水分バランスに大きな影響を与えるため、
ボディビルダーが皮下水分を減らして
「ドライでシャープな」見た目を目指す際に試みられる手法です。
一般的には、塩分を一時的に増加させてから、
コンテスト数日前に急激に減らすという「リバウンド理論」があります。
この理論は、ナトリウム排泄のリズムを利用して
一時的な脱水状態を作り出し、皮下水分の減少を狙うものです。
しかしながら、研究では
このような急激な塩分操作は科学的根拠が乏しい上にリスクが高いとされています。
ナトリウムは細胞外液の主成分であり、
極端に減らすと体液バランスが崩れ、
脱力感、筋けいれん、パフォーマンス低下などの
健康被害が生じる可能性があります。
さらに、低ナトリウム血症により、神経系への影響や、
場合によっては生命に関わる危険性すらあります。
クライアント様の中には過去に別のコーチのもとで
過度な塩抜き水抜きを行い、コンテスト前日に体調が崩れ
試合に出れなかったという事例も今年に入って聞いております。
近年のガイドラインでは、塩分の操作は控えめに、
通常摂取範囲で維持することが望ましいとされています。
従来の「水抜き」「塩抜き」は、
見た目を悪化させるリスクがあるため、
慎重な管理が求められます 。
水分
水抜きも非常に良く聞かれ、
クライアント様の中には独学等で
過去には水分を極端に制限して
体調不良を起こしたり、ステージで攣りまくったり、
まったくパンプしなかったなんて話もよく聞きます。
水分操作はボディビルディングにおいて最も誤解されやすく、
かつリスクの高いピーク手法の一つです。
水分摂取を徐々に増やし、最後に急激に減らす「ウォーターローディング」は、
腎臓を水排出モードに誘導し、その後の摂取制限によって
体内水分を減らすことを目的としています。
この手法により、筋肉内の水分は保持したまま、
皮下の余分な水分だけを減らすという
理想的な見た目が得られるとされていますが、
現実には筋肉内の水分も同時に減ってしまい、
フラットで張りのない状態になる危険性が高いです。
また、脱水状態はパフォーマンスを著しく低下させ、
心血管系への負担や、電解質バランスの崩壊を招きます。
特にナトリウムと一緒に水を排出するため、
水分・塩分操作の同時実施は非常にリスクが高いとされています。
脱水によるコンディショニング低下や体調不良、
最悪の場合は救急搬送されるリスクもあるため、
近年では過度な水抜きは避け、安定的な水分摂取の継続が推奨されます。
まとめ
以上が大会前によく調整される
3つの指標でした。
それぞれの目的やリスクを踏まえた上で
やる・やらない、
やるとしてどれくらいの量調整するのか、
事前にリハーサルはできるのかなどなど検討していきましょう。
複数大会出場する場合は
1戦目は通常通り
2戦目はカーボアップ
3戦目はカーボアップ+軽く塩分・水分調整など
自身の体で変数を少しずつ変えてデータを取るのも
今後の参考になるかもしれません。
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