2025.09.29
糖尿病性末梢神経障害患者における運動トレーニングの影響

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は糖尿病性末梢神経障害患者における運動トレーニングの影響についての
論文を引用していこうと思います。
論文
このシステマティックレビューの主な目的は、アンブレラレビューを通じて、
糖尿病性末梢神経障害(DPN ) 患者における客観的に測定されたあらゆる健康関連結果に対する
運動トレーニング介入の影響を評価することであった。
副次的な目的は、運動トレーニングの利点を評価するために使用される結果指標と、
これらの評価に採用されたツールを特定することであった。
14件のシステマティックレビューが本アンブレラレビューに含まれた。
レビューによると、これまでに実施された研究では、
単一の条件付き能力の改善に焦点を当てた、あるいは複数の条件付き能力の改善に焦点を当てた、
非常に多様な運動トレーニング介入が検討されている。
DPN患者における運動の有益性を評価するために、研究者らは、
静的または動的バランス、転倒リスク、固有受容覚、生活の質、
神経障害性の徴候および症状、神経障害性疼痛、神経伝導の変化、筋力、
歩行の変化、関節可動性の改善、足底圧の変化、血糖値の変動、
潰瘍形成などの有害事象の発生率、BMIの変化など、様々な健康アウトカムを評価することを選択した。
また、これらのアウトカムをそれぞれ測定するために、異なるツールも使用している。
研究間のばらつきのため、レビューの著者は複数の独立した研究の結果を
メタアナリシスで統合して分析することが一般的にはできず、
統合して分析できたとしてもほとんどの結果に高い異質性があることが判明しています。
5 件のシステマティック レビューに含まれる合計 9 件のメタアナリシスでは、
評価された結果に運動トレーニング介入を支持する有意差が見られ、
異質性は低く、最も頑健な結論が示されています。
有酸素運動は、筋力トレーニングの有無にかかわらず、8 ~ 16 週間行うと
空腹時血糖値と HbA1c 値を改善できます。
運動トレーニングは神経障害の症状を軽減し、身体機能を改善します。
足と足首のモビライゼーションと自宅でのストレッチ運動は可動域を広げます。
姿勢とバランスの運動は、目を閉じた状態での姿勢の動揺にわずかな変化をもたらし、
バランスを改善し、転倒の恐怖を軽減します。対象を絞った介入は一般に、
対象を絞らない介入よりも良い結果を示しました。
結論として、このアンブレラレビューは、DPN患者における
運動トレーニングが健康アウトカムに及ぼす効果について包括的な概要を提供します。
運動様式やアウトカム指標にはかなりのばらつきがあり、レビュー方法の質も全体的に低いものの、
特に有酸素運動、筋力トレーニング、バランストレーニングを組み合わせた運動は、
血糖コントロールの改善、神経障害症状の軽減、関節可動域の拡大、
身体機能の維持に効果があることがエビデンスから示唆されています。
しかしながら、転倒リスクや潰瘍予防といった他のアウトカムへの影響については、
依然として結論が出ていません。
さらに、このアンブレラレビューでは、研究間で使用されている
評価ツールが多岐にわたることが特定され、アウトカム測定の標準化が
不十分であることが浮き彫りになりました。
この不一致は比較可能性を制限し、文献における矛盾する結果につながる可能性があります。
今後の研究では、アウトカムの選択と測定において、
より方法論的な厳密さと統一性を高めることを目指すべきです。
また、糖尿病の種類に応じた運動介入の影響の違いを検討し、
足の潰瘍などの合併症リスクを最小限に抑える、
安全で個々の患者に合わせた運動プロトコルを開発することも重要です。
参考文献:Impact of Exercise Training in Patients with Diabetic Peripheral Neuropathy: An Umbrella Review
まとめ
運動は害になるわけではないけど何にでもいいというわけではないという考えは根底に必要ですね。
とはいえやらないよりやった方がプラスになることは多いのでやる方がいいです。
めんどくさい、しんどいとは思いますけど運動は将来への投資と考えてください。
金あっても身体がダメなら医療費に消えるだけなので。
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