ベンチプレス12

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
過去にベンチプレスにおいての
手首を寝かせる・寝かせないについての
記事を書きました。(参照:ベンチプレス9
今回は、ここについてさらに解説を踏まえていこうと思います。

手関節とは?

まずは前提として、手関節について。
手関節(手首)はモビリティ関節(モビリティジョイント)ともいいます。
モビリティ関節とは動きを作る関節です
手関節、肩関節、足関節などの多様な動きをする関節です。
もう一つはスタビリティ関節。
肘関節、腰椎、膝関節などの安定させるための関節です。
自身の体で動かせば分かりますが、
手関節は動き作ることが出来、多様に動く。
つまり動作中でも動きやすい関節になります

バーベルの軌道と背屈

ベンチプレスの軌道で無意識的に
バーベルがまっすぐに上がることはありえないです。
基本的には斜め上側(頭側)です。
大胸筋から一切負荷が抜けないと言われるフォームでも、
競技的ベンチプレスでも、多少の違いはあれど斜め上に上がります
アーチを組めば、尚更ですが、直線軌道での挙上は大胸筋から負荷が抜けていきます。
筋肉の走行を考えれば誰でも分かることです。
まっすぐ上げるほどに腕が地面と垂直ではなく、
ななめになっていくため、肘に負担をかけるフォームになっていきます。
手首を立てていた場合、バーベルを上げていく向きと手首が寝ていく向きは同じ向きです。
挙上する勢い・パワーを手首がまっすぐのまま受け止めれるでしょうか?
手首を立て、バーベルを握り、バーベルの勢いに抗い、手首を立て続けれるでしょうか?
普通に考えて難しいですね。
この時点で、すでに手首を立てることに懐疑的になっている人もいるかもしれませんね。

テノデーシスアクション

さぁ次の理論です。
テノデーシスアクションをご存知ですか?
手首を背屈(甲側に倒す)すると指が自然に屈曲(曲がる)し、
手首を掌屈(平側に倒す)すると指が伸展(伸びる)
こといいます。
つまり、バーベルを握る(指を曲げる)という事は、手首が背屈しているのが自然な動きになります。
手首を立てて、指を曲げるという動作は、意識的に行われるものです。
意識的に手首を立て続け、重さを持ち、更に動作を行う。
こんな器用な真似が幾人が行えるでしょうか。
トレーニングにおいては自然に動作が行えることが理想的です
これは、怪我を回避する上でも、重さを持つ上でも重要です。
ベンチプレスにおいての+αの意識的動作、果たして必要といえるでしょうか。

握りの関連性

まだまだいきましょう。
手首を立ててバーベルを持ち上げてみてください。
ほとんどの人が安定させるために、握りが強くなります
握りが強くなると、手首は掌屈側に動きます。
つまり、テノデーシスアクションの作用で言えば、
指が伸びることになります。
もちろんそんなことをすればバーベルが落ちてしまうため、
より握りが強くなるでしょう。
この不必要な握りがトレーニングにおいて、必要であるかどうか。
少し考えてみてください。
私個人の意見としては、いらないです。
強く握るという動作を行えば、肩は上がります
これは構造的に誰でも起こり得るため試してみてください。
肩が上がるということは、アーチが中途半端なら、簡単に崩れます。
ベンチプレス中に肩が上がる動作を行う。
これを良しとするのかどうか。判断は人それぞれです。

肩が上がることの危険性

ベンチプレス初心者によく起こることですね。
このトレーニング方法を続けていった結果、ほとんどの人がご存知。
肩を痛めます。
肩の筋肉へ過剰なストレッチを掛けた状態で、重さを持つわけです。
それは痛めますよね。

拇指関節

まだまだ続きますよ。
次は、拇指関節(親指)の話をしましょう。
手首を立ててバーベルを握ります。
そうすると重さは親指側になると思います。
指はモノを掴むなど、内側(屈曲側)には動きます。
ただし、外側(伸展側)にはほぼいかないです。
親指に、屈曲側ではなく、伸展方向に重さを乗せる
この重さに指は耐えれるでしょうか?
いずれ限界が来ると思います。
CMかMPで痛みが出るんじゃないですかね。

重さというのは点で受けてしまえば、
耐えきれなくなる
ことがります。
面で受けることができれば、負荷を分散することができ
局所的な痛みを抑えることができます。
手首を立てるというのは親指側に負荷が集中します。
これでは、負荷を分散しているとは言えないですね。
一番、面で受けれるのは寝かせてハの字にする。
ただし、この向きは出来る人と出来ない人がいます
無理にハの字にしようとすれば、回内制限から、
代償動作として、肩関節の内旋が入り、脇が開きます。
ハの字で持つことのメリットの一つは、
”手首への局所的負荷の分散”が含まれます。

手首を立てることのメリット

私は寝かせる派ですが、立てることのメリットも考えてみましょう。
初心者の人は握り方がまず上手くいかないです。
そういった人に分かりやすくするためという点では立てるのもあり
かなとも思えます。
指導者目線で言えば、初心者が扱うバーベルぐらいじゃほぼ手首を痛めないため、
説明の手間が省け、楽と言えば楽です。
ただし、持ち上げたときは手首がまっすぐでも、動作途中も真っすぐを維持できますか?
意識して行えばできるかもしれませんが、なかなかうまくできないです。
ましてメリットがあるとして”初心者”と定義しました。
初心者がその状態を意識して動作できるかと言われれば難しい話になります。
たまに、手首を立てると怪我がしにくいともいいますが、
これは前項で完全否定している為、メリットには含まれないです。
”手首を立てる”というのは初心者向けのトレーニング本に載っているため、
それを鵜呑みにし、何も考えず、それだけが正しいと妄信し、広められてきたものになります

真面目に考えて、自分の体の感覚でやってきたのなら、
まず手首が立てるという結論には辿り着かないと思います。
つまり、手首を立てた方がいいというのは、本の受け売りで、
自分で思考すること・経験することを止めていることと同義にも思えます

ごめんなさい、手首を立てるメリットが見当たらないです。

まとめ

あくまでトレーニングは”自分のやりたいようにやる”でいいと思います。
手首を立てたいなら立てればいいし、
寝かせたいなら寝かせればいいと思います。
私はトレーナーである以上は理論的に、且つ怪我を極力回避でき、
且つクライアントの要望である重量を持ちたい、筋肥大をしたいといった要望に
答えなければなりません。
だからこそ、最適解は手首は寝かせるべきだと言っているだけです。
盲目的にトレーニング本に書いてあったからではなく、あらゆる視点から見て、
”手首を寝かす”が最適解だと考えています。
真っ向からそれは違うという方がいるようでしたら、お話をしたい。
まだまだ、私の知らない知識はたくさんあります。
違った視点は私が求めているモノですので、是非議論を交わしたいです。



この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。