ダンベルプルオーバーはどこ狙いか

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、ダンベルプルオーバー(DPO)の対象筋はどこかについて
考察していこうと思います。

ダンベルプルオーバー

まず、大きくは2つ。
”胸”か”背中”かだと思います。

この胸の方のDPOについての
対象筋はボディビル界隈では
諸説言われていると思います。
”大胸筋に縦の刺激”、
”小胸筋狙い”、
”胸椎伸展狙い”などなど。
まずはこの中で間違いだと考えるのは、
”小胸筋狙い”です。

確かに動く部分にある筋肉として小胸筋と
思うこともあるかもしれませんが
小胸筋の作用的に見ても、
小胸筋の力発揮においてもDPOの重量では
狙うことは不可能だと考えています。

じゃあ何かと?
個人的な考えとしては、
”大胸筋下部”です。

大胸筋下部は腹直筋鞘(前葉)に起始し、
上腕骨大結節稜に停止します。
作用としては主に内転にはなりますが、
機能解剖学においてはです

筋肉は関節の肢位に応じて、
筋作用の変化が起き、
大胸筋下部で言うならば、
肩関節屈曲位では肩関節伸展筋となります。

大胸筋下部繊維(腹部)は0°~30°屈曲位ではわずかに屈曲モーメントアームを持つだけでほとんど作用しないが、

30°以上屈曲していくと伸展のモーメントアームが増加し、屈曲位では肩伸展筋となることがわかる。

身体運動学【関節の制御機構と筋機能】P.81 市橋 則明 (編集)

では、プルオーバーの動きを思い出してみましょう。
ベンチに寝て肩関節屈曲90°から
更に屈曲していき、90°屈曲位に戻る動きをします。
つまり、前述の大胸筋下部の作用から見ても、
大胸筋下部はこの際に機能している事が考えられます。

なので、私はDPOにおいて胸を狙うと言うならば、
”大胸筋下部狙い”であると考えています。

では、初めの方に記載した、
”大胸筋への縦の刺激”と
”胸椎伸展狙い”のそれぞれが
間違いでは無いと考える理由についてです。

中途半端な屈曲画像がしか準備が出来ませんでした。すみません。
軽く想像して頂きたいのですが、
上腕骨がこのまま屈曲側に動くと、
大胸筋下部が縦に伸ばされるのがなんとなく想像つくかと思います。
縦に伸ばされた後に、縦に縮む。
動きとしては屈曲から伸展です。
だから大胸筋への縦の刺激として認識されているのではと思います。
動きからも筋肉の方向から見ても、
”縦”は個人的には正解かなと思います。

次に、胸椎伸展についてですが、
先程の画像の矢印部分が近づくことを想像してください。
一般的に言われる猫背の姿勢が出来ます。
胸椎伸展はこの大胸筋下部の収縮と
逆の動きになるため、
DPOにおいて大胸筋下部の伸張を行うことで、
胸椎伸展をやり易くすることが想像できます。
なので、胸椎伸展も正しいのかなと思います。

これが私の考えるダンベルプルオーバーという種目になります。
人それぞれ何を目的にしてやるかは違いますので、
これだけが正解ではないですが、
DPOの解説の一つぐらいに思っておいてください。

中には広背筋にしか効かない、
三頭筋にしか効かないという方もいるかもしれませんが、
それついてはやり方の問題です。
肩関節の状態がどうなっているか、
肘関節の状態がどうなっているか、
胸腰椎の位置はどうなっているかなどの
複合的に変化させてみると全体的に動かせるかなと思います。

まとめ

小胸筋や大胸筋上部という方がいますが、
あれの理由は筋作用などではなく、
肩関節屈曲位などは考えずに、

何か動いてる辺の筋肉って何だっけ?
   ↓
機能解剖学書を見る。
   ↓
ああ、この辺の筋肉は小胸筋か大胸筋上部だな。

みたいな感じだと思います。
なので、感覚は出ているのでやり方は合っていますが、
理屈が合っていないだけなので、
自己流としては間違いですとは思いません。
ただ、人に教える立場である、
”トレーナー”を名乗る人ならば個人的にはNGです。
お金貰って根拠なく出鱈目を教えている事になるわけですから。

過去おすすめ記事
過去おすすめの考察記事

この記事を書いた人

アバター画像

KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。