BLOG

2025.10.27

運動が胎児の健康に及ぼす急性効果について

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
高負荷抵抗プロトコルと仰臥位運動が胎児の健康に及ぼす
急性効果について論文を引用していこうと思います。

論文

本研究の目的は、仰臥位運動を含む高負荷抵抗プロトコル中の胎児の
健康状態と大静脈症候群の症状を、この分野における先行研究よりも
有意に大規模なサンプル数で評価することであった。

48人のアスリートがこの研究に参加した。
アスリート3人は持久力スポーツ選手、3人は球技選手、1人はクロスフィットで競技していた。
レクリエーションアスリートは主に筋力トレーニング(n=33)とランニング(n=31)に参加し、
サイクリング(n=17)、クロスフィット(n=12)、クロスカントリースキー(n=11)も一般的な活動だった。
エリートアスリート1人とレクリエーションアスリート2人は骨盤帯の痛みのため
スモウデッドリフトを行うことができず、レクリエーションアスリート1人は
ベンチプレス後の胎児徐脈のためインクラインベンチプレスを完了できなかった。

結果として、3種類の多関節複合運動からなるこのプロトコルは、
高強度運動や高負荷レジスタンストレーニングを日常的に取り入れている
妊娠中のアスリートたちにとって、全体として良好な忍容性を示しました。
高負荷レジスタンストレーニングのセット間において、胎児心拍数は正常範囲内に維持され、
子宮血流も損なわれることはありませんでした。

ベンチプレス後に胎児徐脈が認められた症例を1例観察しました。
妊娠16週以降は、大静脈の圧迫により血液が心臓へ還流できず
胎児血流が減少する可能性があるため、仰臥位での運動は一般的に推奨されません。
この症例では子宮動脈PIがわずかに上昇しましたが、値は正常範囲内にとどまっており、
子宮全体の血流に重大な影響はなかったことが示唆されます。
バルサルバ法は血圧と腹腔内圧を上昇させるため、
最大負荷から最大負荷での抵抗運動時のパフォーマンスを向上させるために、
アスリートや筋力トレーニングを行う個人が一般的に使用しています。
胎児の血流が減少する可能性があるため、妊娠中は推奨されません。
この研究では、アスリートが自分の呼吸法を選択し、
残念ながらバルサルバ法の使用は記録されなかったため、バルサルバ法の安全性の評価はできませんでした。
しかし、アスリートの60%以上(n=30)が定期的に高負荷の筋力トレーニングを行っていたため、
多くのアスリートが本能的にバルサルバ法を使用したと考えられます。
運動後の臍帯動脈PIに変化が見られず、子宮動脈PIが低下したことを考えると、
この結果は、十分にトレーニングされた人では、
重い物を持ち上げたりバルサルバ法を行ったりしても胎児の血流が損なわれない可能性が
あることを示唆する以前の研究と一致しています。

結論として、一過性の胎児徐脈が臨床基準を満たさなかったものの、
今回の結果は、特に抵抗トレーニングの経験がある活動量の多い女性であれば、
胎児の健康に明らかな悪影響を与えることなく、高負荷抵抗トレーニングを安全に実施できることを示唆しています。
より多様なサンプルでこれらの結果を確認し、より広範なトレーニングプログラムの効果を評価するには、
さらなる研究が必要です。

参考文献Pushing limits: the acute effects of a heavy-load resistance protocol and supine exercise on fetal well-being

まとめ

既知の事実
・軽度から中程度の強度の筋力強化活動は、母親と胎児の健康をサポートするために、世界的な身体活動ガイドラインで推奨されています。
・対照的に、高負荷の抵抗トレーニングや仰向けの運動は、妊娠中の潜在的なリスクのため、一般的に推奨されません

新しい結果
・仰向け運動を含む高負荷の抵抗トレーニングを行うことは、健康で活動的な妊婦の胎児の健康にリスクをもたらさないことを示唆している。

バルサルバ法も大丈夫かもしれないとあっても怖いのでやらせられないですけどね。
ただ、運動習慣がないとかの方が問題なので軽い範囲で動き続けることは絶対必要です。

過去おすすめ記事
妊娠における血圧に対する運動の影響

この記事のカテゴリ

この記事のタグ

この記事を書いた人

アバター画像

KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

パーソナルジムFLEXER佐藤町店の店長。ブログでは基本的に解剖学や運動学等の文献を引用した記事を執筆しています。

TOP