妊娠における血圧に対する運動の影響

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、合併症のない妊娠およびリスクのある妊娠における
血圧に対する有酸素運動とレジスタンス運動の影響についての
論文を引用していこうと思います。

論文

この系統的レビューとメタアナリシスの主な目的は、
合併症のない妊娠中の集団とリスクのある妊娠中の集団において、
急性および長期の有酸素運動、レジスタンス運動、
およびその両方の組み合わせが血圧の転帰に及ぼす影響を明らかにすることである。
急性の有酸素運動は運動後の血圧降下反応をもたらし、
妊娠中の長期の有酸素運動は血圧を低下させ、
特にこれらの疾患のリスクが高い集団において
妊娠高血圧症候群の発症予防に役立つという仮説が立てられている。

このレビューの目的は、妊娠中の血圧に対する運動介入の効果を評価し、
妊婦の1回の運動における血圧の急性変化を理解することであった。
リスクのある集団における運動介入後の
収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、平均動脈圧(MAP)において、
運動群に有利な有意差が認められた。
このことは、心血管系疾患のリスクが高い妊婦は、有酸素運動または
有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせることで、
これらの疾患にしばしば関連する血圧の上昇を防ぐことができることを示している。

合併症のない妊娠では、軽度から中等度の強度の有酸素運動やレジスタンス運動は、
妊娠期間を通じて安静時血圧に影響を及ぼさなかった。
合併症のない集団およびリスクのある集団では、
抵抗運動よりも急性有酸素運動で血圧が大きく上昇し、
運動後はベースライン値に戻った。
運動後の血圧降下反応は、急性有酸素運動後に起こる可能性があり、
安静時血圧が高いリスクのある集団では、
急性有酸素運動が血圧降下に役立つ可能性があることを示している。
通常のケアと比較すると、合併症のない妊娠期間中に
実施された有酸素運動および/またはレジスタンス運動は血圧に影響を及ぼさなかった。
しかしながら、リスクの高い妊娠では、
妊娠中の定期的な運動トレーニングにより血圧上昇のリスクを低減できる可能性がある。

このレビューでは、合併症のない妊娠集団ではSBPやMAPに差はなく、
有酸素運動とレジスタンス運動の併用介入後にDBPがわずかではあるが
有意に低下したことだけが明らかにされた。
心強いことに、これらの参加者は妊娠期間を通じて正常血圧を維持していた。

血管作動性物質、成長因子、および血行力学的刺激に反応して、
血管壁の構造成分は、妊娠中の血管リモデリングの動的過程を通じて変化する。
合併症のない妊娠では、血管のリモデリングと血管拡張に関連した
血圧の曲線的な低下が観察されており、妊娠第1期の終わりから
妊娠第2期の始めにかけてその頂点に達する。
合併症のない妊娠の女性は、妊娠中の運動が血行動態に、
悪影響を与えないことを確信できる。
可能であれば、妊娠中も運動を続けるよう勧めるべきである。

レジスタンストレーニングのみでは血圧に有意差は認められなかったが、
妊娠中のレジスタンストレーニングの効果を報告した研究は限られていた。
特にリスクのある集団において、レジスタンス・トレーニングが
血圧に及ぼす長期的な影響を明らかにするためには、
妊娠中におけるこの運動様式に関するさらなる研究が必要である。

合併症のない集団とリスクのある集団の両方において、
有酸素運動と複合運動で同様の変化がみられた。
以前から、妊娠していない集団では、高血圧予防のために
有酸素運動をレジスタンス運動で補うべきであることが示唆されていたが、
システマティックレビューを含むより最近のエビデンスでは、
高血圧予防にほとんど差がないことが確認されている。

まとめ

妊娠中の可能な範囲は運動するべきですね。
筋トレというよりも有酸素運動を推奨していますが、
血圧以外の観点では筋トレは推奨される場合があるので、
妊娠中も妊娠中以外も運動はすべきですね。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。