月経周期と脂質摂取

こんにちはTOMOAKIです。
クライアントさんから月経期間は
・ストレスを感じる
・食べ過ぎてしまう
・甘いものが欲しくなる

など相談をいただきます。

何か栄養学的な対策はないかなと思い
調べておりましたところ興味深い研究を見つけました。

そこで今日は活動的な女性に対する
主要な生理学的および栄養学的考察の
実用的な概要
こちらの論文をもとに紹介していきます。

月経周期とホルモン分泌

画像出典:Sex differences and considerations for female specific nutritional strategies: a narrative review

まず女性の月経周期とホルモン分泌についてです。
上の画像には、女性の生理周期を表すグラフが描かれています。
生理周期は大きく「卵胞期(Follicular Phase)」と
黄体期(Luteal Phase)」の2つの段階に分かれており、
それぞれの期間で異なる生理的変化があります。

また、エストロゲン(Estrogen)と
プロゲステロン(Progesterone)の2つの
主要なホルモンの濃度が周期的に変動することも示されています。

エストロゲンは月経周期の前半で分泌され、
子宮内膜の成長を促進します。
また、卵巣から卵子が放出される排卵を準備する役割もあります。
エストロゲンは骨の健康や肌の質感を良くする効果も持ちます。
プロゲステロンは月経周期の後半に分泌され、
子宮内膜を維持し、妊娠に備えます。
妊娠が起こらない場合、プロゲステロンのレベルが下がり、
月経が始まります。また、妊娠中は胎児の成長を
サポートする役割も果たします。

卵胞期(Follicular Phase)

  • 生理周期の初めから排卵までの期間を指し、通常は約14日間です。
  • この期間では、脂肪酸の酸化とタンパク質の酸化が低下します。
  • 炭水化物の酸化は増加し、グリコーゲンの蓄積は減少します。
  • グリコーゲンの超補償効果が高まります
    (グリコーゲンの超補償効果は、
    運動後に高い炭水化物を摂取することで、
    筋肉や肝臓に通常よりも多くのグリコーゲンを蓄積させる現象)

黄体期(Luteal Phase)

  • 排卵後から次の生理が始まるまでの期間を指し、通常は約14日間です。
  • この期間では、脂肪酸の酸化とタンパク質の酸化が増加します。
  • 炭水化物の酸化は減少し、休息時のエネルギー消費は増加します。
  • グリコーゲンの蓄積は増加しますが、グリコーゲンの超補償効果は低下します。

グラフには、エストロゲンが生理周期の前半においてピークに達し、
その後低下する一方で、プロゲステロンは周期の後半に
ピークに達することが示されています。

これらのホルモンの変動は、前述した代謝の変化を引き起こし、
結果として女性のエネルギー摂取行動に影響を与える可能性があります。

脂肪酸の推奨摂取について

脂肪は性ホルモン濃度の維持や脂溶性ビタミンの吸収に不可欠です。
女性では、適切な脂肪摂取が
正常な月経周期を支える
ことが示唆されています。

過去に女性の方で脂質の摂取量(それに伴い摂取エネルギー量)が
少なすぎたのもあり
月経不順を経験された方もいます。

食事における脂肪の適切な割合
総カロリーの20~35%です。

体脂肪の減少を目指す人には、
1日当たり体重1kgあたり
0.5~1gの脂肪の摂取が推奨されています。

女性には特に、オメガ6(リノール酸)と
オメガ3(α-リノレン酸)脂肪酸
の摂取ガイドラインがあり、
それぞれ1日12gと1.1gが求められます。

全カロリーの少なくとも15%は、
加工されていない脂肪源(例:赤身の肉、ナッツ、種子、卵、アボカド)
から摂取すべきです。

先で紹介したように
月経周期の卵胞期と黄体期における
女性性ホルモンの変動は、
脂質の代謝に影響を与えます。

特に、黄体期では脂肪酸化に
より大きく依存
することが示されています。

また、女性は男性と比べて脂肪酸化に
より依存する傾向があります。
したがって女性は性ホルモン調整や脂溶性ビタミン吸収、
特有の基質ニーズに応えるために、
十分な脂肪摂取を心掛けるべきです。

特に、黄体期の脂肪代謝の増加を支えるために、
脂肪摂取に重点を置くことが重要です。

最後に

これまでの内容で女性の場合は脂肪酸の摂取がより
重要
だということがわかりました。

例えば月経後半の黄体期に脂肪酸の酸化とたんぱく質の酸化が
増加するため、その二つを挙げて炭水化物の摂取を下げる、
また月経前半はその逆にすれば良いのかというと
そう単純ではありません。

代謝の変化は、体内のホルモンバランスの自然な調整の一部であり、
必ずしも悪いことではありませんし、
月経中にたんぱく質や脂質の摂取を意図的に減らすことが
体重減少に有益かどうかについては、求められる摂取エネルギー量、
三大栄養素のバランス
を考慮する必要があります。

さらには個人差もありますので
一概にどの栄養素を増やす、減らすなどは正直言えませんが
今回の研究結果より黄体期に関しては
安静時代謝の増加に伴い摂取エネルギー量を少しあげたり
多少脂質のバランスを増やして
様子を見るのもありかもしれないなといった感想です。

ただ短期的な変化に引っ張られ食事をコロコロ変えるより
一貫した食事を継続して行い
長期的な変化を目標
にする方が良いのかなと思います。

この記事を書いた人

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TOMOAKI

2021年度JBBFジャパンオープンクラシックフィジーク168cm以下級準優勝など数多くのコンテストで優れた成績を残し続けており、2022年度から正式にmaison de FLEXER所属のパーソナルトレーナーとして指導中。KONDOやKAMEYAMAより常日頃から様々な知識を供給されそれを活かしてオンラインコーチングで月当たり約30名を指導している。