運動科学におけるバイアスのリスク

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は運動科学におけるバイアスのリスクについての論文を引用していこうと思います。

論文

このシステマティックレビューの目的は、以下の2つの仮説を検証することであった。
(1)2020年に発表された運動科学の論文のほとんどは、5つのタイプのバイアス(選択、パフォーマンス、検出、萎縮、報告など)において、バイアスのリスクが高いか不明確である
(2)1996年のCONSORTガイドラインにより、バイアスのリスクが高いか不明確と判定される運動科学の研究の割合が減少する。

5,451件の研究がレビューの対象となった。

このシステマティックレビューでは、上記2つの仮説を検証した。
得られた結果は、両方の仮説と一致している。

このレビューにおいて、選択バイアス、パフォーマンスバイアス、検出バイアス、萎縮バイアス、および報告バイアスのリスクが
不明確または高い研究が多数あることは、重大な意味を持つ。運動科学の全範囲にわたる数百の研究において、
全体的にバイアスが不明確または高リスクであったことは、ヒト運動科学文献のサブセクションにおける最近のレビューと一致している。つまり、研究者は、強固な無作為化および盲検化手順、標準化されたアウトカム測定、
積極的な離脱管理、包括的な結果報告を含み、報告することを検討すべきである。

バイアスリスクが高い、または不明確と判定された2020年の研究がかなりの割合を占めているにもかかわらず、
1995年から2020年の間にバイアスリスクには顕著な改善が見られた。

これらの結果は、2011年から2014年にかけて医学雑誌に掲載された論文のバイアスリスクの変化を
調べた過去の研究と一致している。さらに、サンプルサイズの計算は2020年では比較的少ないままであったが、
これは1995年からかなりの改善を示している。これらの改善は、質の高い報告が再現性、信頼性、および信用に与える影響を考えれば、心強いことである。運動科学における報告方法の改善の正確なメカニズムは不明であるが、
過去25年間に数多くの強固な報告ガイドラインが作成されたことが寄与していると考えられる。

結論として2020年に発表された運動科学の論文のほとんどは、
5種類のバイアス(選択、パフォーマンス、検出、萎縮、報告など)において、
バイアスのリスクが高いか不明確であり、1996年のCONSORTガイドラインの発表以降、
運動科学研究の大規模なセットにおいてバイアスのリスクが低下していることが示された。
これらの改善にもかかわらず、運動科学研究においては、無作為配列の作成、割付の隠蔽、
参加者および担当者の盲検化、結果評価の盲検化、結果データの不完全性、
および選択的報告の改善が引き続き必要である。
これらの知見は、方法論的な警戒を強め、厳密な報告基準を遵守し、
教育課程で実験バイアスについて教える必要性を強調している。
バイアスの発生源に絶えず注意を払うことで、運動科学研究の妥当性と信頼性を高めることができると期待している。
そうすることで、研究の信頼性が高まり、エビデンスに基づいた臨床実践が可能になり、
応用の場においてより良い健康アウトカムにつながることが期待される。

まとめ

前提知識があり物事を調べようと思っている場合は
自分の思い描く答えに近づけようとしてしまいますので
反対の意見も調べたり注意してみるとバイアスがかかり過ぎずにいられるかなと思います。
実際出ている論文でもバイアスがかかっている場合があるので
論文がる=正しいとは思わないようにしないといけませんね。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。