痛みによる腱板の筋活動低下について

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は実験的に誘発された痛みにより、健康な被験者の腱板の
筋活動の変化についての論文を引用していこうと思います。

論文

本研究の目的は、急性棘上筋痛が棘上筋と棘下筋の
筋電図活動に及ぼす影響を調べることである。
棘上筋と棘下筋のEMG振幅は、疼痛期には前疼痛期よりも
低下するという仮説が立てられた。
さらに、筋活動の低下は後疼痛期にも残るという仮説が立てられた。

対象は21名であり女性10名、男性11名。
さらに、各筋肉について、外れたデータを除外した。
データは正規分布していたため、動的収縮の外れ性は、
上腕骨挙上時のコンセントリックまたはエキセントリックの平均値で判断した。
3つの条件(疼痛前、疼痛、疼痛後)のいずれかにおいて、
値が平均値から3SDを超えた場合、
その筋のデータは3つの条件すべてにおいて除外された。
動的コンセントリック部分については504人(3条件、8筋、21人)のうち6人の値が除外された。
動的エキセントリック部分については5つの値が除外された。
亜最大収縮では7つの値が除外された。最大収縮では5つの値が除外された。

この研究では棘上筋および棘下筋のEMG振幅は
疼痛期には疼痛前よりも低下するという仮説が立てられた。
さらに、筋活動の低下は疼痛後局面でも残るという仮説が立てられた。
どちらの仮説も、結果によって十分に支持された。

本研究における主な限界は、誘発された疼痛が短時間であったことに起因する。
そのため、最大疼痛時の評価には最小限の時間しか残されていなかった。
もう1つの限界は、肩甲骨運動学が測定されなかったことである。
上腕胸郭運動学は、肩甲上腕成分と肩甲胸郭成分に分離することができない。
この研究では、被験者は上腕骨の動的挙上、亜最大等尺性収縮、
最大収縮の3つの課題に取り組んだ。
動的課題では、棘上筋と棘下筋の両方で違いが検出された。
棘上筋は、疼痛により同心円的な活動が低下し、その一部は疼痛後も残存した。
これとは対照的に、棘下筋は初期には動的な違いを示さなかったが、
疼痛後にはより低い活動を示した。
この遅れは痛みに対する急性反応と亜急性の
初期適応の違いを示している可能性がある。
棘上筋活動は疼痛とともに低下し、疼痛後も低下したままであった。
静的棘下筋活動は、外旋収縮の時間が不十分であったため、
疼痛期には分析されなかったが、疼痛後では確かに低下していた。
このような反応が疼痛状態の間に存在したのか、
あるいは動的収縮のように棘上筋の反応に続いて起こったのかは不明である。
最大収縮は、疼痛時には評価されなかったものの
2つ目の仮説を支持するものであった。
両最大収縮で観察された力と筋活動の低下は
棘上筋と棘下筋の両方で観察されたのと同様にプロトコールの終了時に起こった。
本研究では、疲労が筋力と筋活動の低下の要因であった可能性がある。
モニタリングした他の6つの筋の活動量に変化がなかったことから、
疲労は有意な要因ではなかった可能性が高いが、その可能性を否定するものではない。

まとめ

痛みがあれば痛みが引いた後にも影響を与えますよって感じです。
お客様の動きを見ていても痛い部分は庇って動かしますし、
過去に痛めた部分は庇った動きのまま残っているものもあるので
”痛みは動きを変える”って認識が重要ですね。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。