地面の接触と舌骨上筋と胸鎖乳突筋の活動

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、足裏と地面の接触と座位脚の位置による
液体を飲み込む際の舌骨上筋と胸鎖乳突筋の活動についての
論文を引用していこうと思います。

論文

単独接地が嚥下時の脱力筋にどのような影響を与えるのか、
また、食物の材質や量の違いに応じて、どのような自律的な嚥下への
生理的調節が生じるのかについては、いまだ不明である。
この研究では健常人の嚥下時の姿勢が足底接地筋に及ぼす影響、
ひいては舌骨上筋(SH)および胸鎖乳突筋(SCM)活動に及ぼす影響を調べることを目的とした。
また、異なる体積と粘度の液体(唾液、水、ヨーグルト)を、
異なる姿勢で嚥下する際に誘発されるSH筋およびSCM筋活動を比較することも目的とした。

対象は26人の健康な成人参加者を募集した
(女性13人、平均年齢26.4±、範囲20〜32歳、
男性13人、28.0±5.7歳、範囲21〜38歳)。

結果として、被験者の足が地面に接地していない場合、
嚥下にはより時間がかかり、両SHのより持続的な活動が必要であった。

10mlの水と5mlのヨーグルトを繰り返し飲み込む間、
SHの活動時間は、足を地面につけて膝の角度を90°にした場合(KB 90°)よりも、
オフの姿勢の方が有意に長かった。
この効果は、唾液と水5mlではあまり顕著ではなかった。
唾液を飲み込む参加者がOffの姿勢で座っているとき、SCMは膝の角度が135°の姿勢のときよりも
小さな活動ピークを示したが、SCMとSHの両筋の積分筋活動は、
参加者が10mlの水を飲み込む場合でも5mlのヨーグルトを飲み込む場合でも、
Offの姿勢のほうが足底接地姿勢のときよりも有意に高かった。

本研究では、SHピークは姿勢や食物の種類によって有意差はなく、
嚥下時の筋活動のピーク振幅に嚥下物の体積や粘度が
影響しないことを報告した先行研究と本研究の結果から、
筋活動のピーク振幅は、姿勢(足裏と地面の接触)や
嚥下物の影響を受けないことが示唆された。

頸部筋は嚥下努力に影響し、筋肥大は嚥下効率の低下を引き起こす。
本研究の結果は、”Off “姿勢における頸部筋活動の増大と
足底接地圧の不在の両方が、この姿勢における嚥下効率を低下させる可能性を示唆した。
しかし、唾液を飲み込む参加者がOff姿勢で着座した場合、
SCMの活動ピークはKB135°の場合よりも小さかった。
個々の唾液の流れについては考慮しなかった。
唾液流量の差がこの結果を招いたと考えられる。
これについては、さらなる研究が必要である。

足底接地圧の測定では、KB90°に比べKB135°では全荷重が有意に大きく、
荷重中心が有意に前方であることが示された。
先行研究では、膝関節の屈曲度の違いにより、
様々な椅子の高さを使用した座位から立位までの足底圧中心、
ピーク足底圧の軌跡に影響があることが報告されている。
同様に、本研究の結果も、KB90°ではKB135°に比べて
座面の位置が高いためと考えられた。
しかし、健常成人の嚥下時のSHとSCMの筋活動に対する
足底接地条件の違いは、KB90°とKB135°ではほとんど影響しなかった。
今後、様々な足底接地条件下で固定された座位高を適用していく予定である。

結論として、4種類のボーラスを嚥下する際のSH筋とSCM筋の
筋活動および足底接地圧を、3つの座位足底接地姿勢で分析した。
その結果、足底接地圧はSH筋の活動時間および統合に、
SCM筋の活動ピークおよび統合に有意な影響を及ぼすことが示された。
摂食・嚥下障害患者の管理においては、
足底接地圧が均等に分散した安定した座位は、
足を床から離した安定性の低い座位よりも嚥下効果が高い可能性がある。

まとめ

筋肉の活動量は重心などで簡単に変わります。
椅子に座り足を浮かせれば、
足が前に出る分バランスを取ったり
安定させるために上体は後方に倒れます。
なので重心の変化から骨の位置の変化と
ある筋肉において筋活動がしにくい位置になってたら筋活動が低下し、
ある筋肉において筋活動がしやすい位置なら筋活動が上昇する。
ただそれだけのことです。
筋トレも同じようにそこが見れないとフォームを
作るのはなかなか難しさがあるかなと思います。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。