昼寝が身体パフォーマンスに及ぼす影響について

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、通常の夜間睡眠後の日中の昼寝が
身体パフォーマンスに及ぼす影響についての
論文を引用していこうと思います。

論文

このレビューの目的は、拡大しつつあるエビデンスベースを体系的にレビューし、
可能であればメタアナリシスを行い、
夜間の通常の睡眠(例えば、睡眠制限や睡眠不足でない)に続く
昼間の仮眠が運動能力に及ぼす影響を調査することである。
通常の夜間睡眠に続く昼間の仮眠は、
身体活動的な個人およびアスリートの身体パフォーマンスを向上させるという仮説を立てた。

日中の仮眠がアスリート(すなわち、完走を目的として週3回以上の定期的なトレーニングを行う人)
または身体活動家(健康、フィットネス、またはレクリエーションの目的で、
週に少なくとも150~300分の中強度の活動または75~150分の強度の活動を行う人)に及ぼす影響を検討した。

結果として、日中の仮眠は5mシャトルランテストにおける
身体能力を向上させたが筋力の測定値は向上させなかった。

しかし、スプリントパフォーマンス、ジャンプパフォーマンス、Wingateテスト、
反復スプリント、持久力パフォーマンスに関する研究数が少ないため、
これらの結果について確固たる結論を出すことはできなかった。

運動能力を高めるために日中の仮眠を使用することを支持する
以前のレビューおよび1つのナラティブレビューと一致している。

今回のメタアナリシスでは、仮眠をとらない条件と比較して、
仮眠後の筋力は変化しないことが示された。
日中の仮眠後に筋力が有意に改善しなかったことの説明として考えられるのは、
対象となった研究で検証された運動様式の違いである。
3つの仮眠時間(すなわち、30分、60分、90分)後に、右手と左手の握力と背筋力をテストし、
どの仮眠時間でも有意な影響を認めなかった。

しかし、別の研究では、2つの仮眠時間(すなわち、40分と90分)後に
右脚の最大随意等尺性収縮をテストし、両方の仮眠時間後に有意な改善を認め、
90分の仮眠後に大きな改善がみられた。

筋力に有意な改善がみられなかったもう1つの可能性は、
対象となった研究における昼寝の時間帯の違いである。
実際、一つ目の研究では、12:30時、13:00時、13:30時が、
それぞれ3つの持続時間(すなわち、30分、60分、90分)の昼寝の時間であったのに対し、
二つ目の研究では、1400時が2つの持続時間(すなわち、40分と90分)の昼寝の時間であった。
この文脈では、14時および15時の通常睡眠後の仮眠は身体能力を有意に向上させたが、
13時の仮眠は身体能力に影響を与えなかったことが報告されている。
したがって、14時 から15時の間に仮眠をとることは、
それ以前の仮眠、特に通常の睡眠後の仮眠よりも有益である可能性がある。
この観点から、13時から16時の間は眠気が高いため、仮眠に最適な時間帯であると示唆している。
しかし、この時間帯が通常の睡眠をとる人に適しているのか、
睡眠制限を経験した人に適しているのかについては言及していない。
したがって、睡眠制限後は疲労が高いため、早めの仮眠をとり、
通常の睡眠後は遅めの仮眠をとることを提案している。
この提案は実行可能であると思われるが、通常の睡眠または睡眠制限後の
昼寝に最適な時間帯を決定するためには、今後の研究が必要である。
また、通常の睡眠後の昼寝が筋力に及ぼす影響についても、今後の研究が必要である。

通常の睡眠後の昼寝が短時間の最大運動時の
パフォーマン スに及ぼす影響を調べた研究は比較的少ない。
例えば、通常の睡眠後の30分間の仮眠が短距離走の
パフォーマンスに及ぼす影響を検討した研究は1件のみであり、改善は検出されなかった。
仮眠後に身体能力が向上しないのは睡眠慣性が原因であると示唆した。
ジャンプのパフォーマンスに関しては、3つの研究が通常の睡眠後の
仮眠の効果を調査しており、その結果は相反するものであった。
実際、30分間の仮眠後にスクワットジャンプとカウンタームーブメントジャンプの改善は検出されなかったが、
別の研究では、カウンタームーブメントジャンプのピーク速度と
平均ジャンプ速度の有意な改善が検出された。
さらに5回跳躍テストにおいて有意な改善が観察された。
この対照的な結果は、研究デザイン(すなわち、使用したテスト、昼寝の時間、睡眠慣性を避けるための時間)の
違いに関連している可能性がある。

今回のレビューに含まれる13の研究は、
仮眠後の身体能力の改善を示したが、
5つの研究は仮眠後の身体能力の改善を観察できなかった。
これらの矛盾は、各研究で用いられた昼寝の時間に関連している可能性がある。
実際、昼寝の時間は身体能力の向上における効果に影響を及ぼすことが報告されている。
より重要なことは、仮眠後に示される有益な効果は、
仮眠の知覚的/心理的および生理学的側面に関連している可能性があることである。
この観点から、昼寝は覚醒度を有意に高め、眠気を減少させるため、身体能力を高める可能性がある。
身体的パフォーマンスは覚醒度と関連しているため、
日中の仮眠は眠気のレベルを低下させ、アスリートがより注意深く感じることを可能にし、
ひいては身体的パフォーマンスの向上に関与している可能性がある。
さらに、身体的パフォーマンスや気分の状態は、
睡眠の量や質と直接的な関係があることが明らかにされている。
したがって、昼寝をした後に見られる気分状態の改善は、
個人の身体能力をピークに到達させるのに役立つ可能性がある。
さらに、昼寝をすることで、短時間の落ち着きとリラッ クスが得られ、
ストレスが軽減される可能性もある。

結論として通常の夜間睡眠に続いて25分から90分の仮眠をとることで、
身体活動性の高い個人やアスリートにおいて、5mシャトルランテスト時の身体能力が向上する。

一方、今回のメタアナリシスでは、日中の仮眠が筋力を向上させることは証明されていない。
昼寝が他の身体能力(スプリント、ジャンプ、パワー、30秒Wingate、持久力など)に及ぼす影響については、
利用可能な研究数が限られているため、確固とした結論を導き出すことはできない。
メタ回帰分析の結果、母集団の大きさ、年齢、練習のレベル、活動量、
昼寝をする時間帯、昼寝の時間などのモデレーター変数は、
5mシャトルランテストにおける最高距離と総距離、
握力と最大随意等尺性収縮における筋力に対する
昼寝の効果に影響しないことが明らかになった。
しかし、疲労指数は仮眠終了から運動までの時間に影響される可能性がある。

まとめ

筋力関係ないみたいですね。
とはいえ仮眠については生活習慣、日々の睡眠時間も影響してくるので
眠たいなら寝る。眠くないなら寝ないぐらいでいいとは思います。
7時間とか8時間など時間で決めると均一か出来ないものを揃えようとして
おかしくなるので主観的な感覚最優先がいいと思います。
慢性睡眠不足の人は主観がおかしいですが。

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この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。